同期機の始動方式ざっくり解説。制動巻線始動方式編
そもそも同期機の始動方式ってなに?
同期機の始動方式は多くの人が理解に苦しむ。
っていうか僕もよくわかりきってない。
だからざっくりと、理解しているなんとなくの概要だけど、そのぶんわかりやすいとは思う。熟練者の方は、眼に余る内容だと思うのでお引き取りください・・・・
同期機について絶対に知っておかなければならないこと
- 同期機は停止状態から自分の力で動き出す事が出来ない。
- 同期機は基本的に発電所等の発電機で利用される。
- 揚水発電所では陽水の際に電動機として利用される。
で、結局のところこの同期機は動き出しの為の背中押しを他人からされないと動いてくれないなまくら野郎ってことである。
で、この始動方法が一個ではなく、何個もあるのでそれを覚えなきゃいけない。
面倒ではあるけど役割ごとに使い分けているので、その辺を関連づけて覚えるべきである。
制動巻線始動方式
ちょっと難しいが暗記する部分がある。
回転子の制動巻線をかご型誘導電動機の原理で始動、加速をする。
という部分である。
言ってしまえば構造を工夫して同期機を自己始動させているので、自己始動方式にあたる。自己始動できないはずの同期機だけど、工夫すればできるっていうことである。
やり方は、同期機の構造を工夫して誘導電動機っぽく動かしておいて、同期速度(同期機が力を受けなくても動けるくらいの速度)になったら同期機として動かす。
自己始動なので、外部に必要な機器もなく、経済的な上に簡単。じゃあこれでいいじゃんと思うけどそうはいかない。実はこの方法、始動時に系統に大きな動揺を与える。
動揺・・・電気の専門用語。影響、みたいな捉え方でOK
始動時に大電流が流れる理由は、同期機にリアクタンスがあるせいである。イメージ的にはコンデンサである。
同然このコンデンサは始動前は空っぽなのだが、始動時にこのコンデンサが満タンになるまでの分の電流を大量に食う。このコンデンサに大量に食われる電流が突入電流であり、こういういきなり大量の電流を求められると、この同期機と繋がってる他の機器に多大な影響が発生してしまう。これが良くないというわけだ。
もっと詳しくは村田製作所が解説してたので丸投げする。
http://www.murata.com/ja-jp/products/emiconfun/emc/2012/10/29/en-20121029-p1
な・の・でこの突入電流をまるまる頂戴♡というわけにはいかない。
対策として始動時には定格の1/2の電圧を与えることにする。動揺やらなんやらを半分にしてなんとか周りに我慢してもらおうということである。
ちなみにデカイ同期機ほどもちろんこのリアクタンスは高く、ということは突入電流もデカく、もちろん動揺も大きい。
そんなわけで、大容量機でこんな手法をとりいれたら系統がぶっ壊れるのでこのやり方は小中容量機に限定されるというわけである。
まとめ
同期発電電動機の始動方式の一つとして制動巻線始動方式が挙げられる。
この方式は回転子の制動巻線をかご型誘導電動機の原理で始動、加速させる。
設備が簡単で単純であると言う利点があるが、突入電流が大きいため系統に動揺が大きい。
そのため、始動時には定格電圧の半分の電圧で始動を行うように工夫をする。
また、この方式は動揺が大きいという特性上、小中容量の同期発電電動機に用いられる。
続きは次回・・・