水車のキャビテーションのざっくり解説
水車のキャビテーションの問題は電験は三種も二種も頻出の必須事項である。
まずは【現象】【影響】【防止策】の3点を理解する必要がある。
※()で囲った部分は説明部分です。暗記で済ませる人は()内は読まなくても問題ありません。
【現象】
(流水中のある一点がその水温の飽和水蒸気圧以下になることにより流水中のある部分の水が蒸発し)流水中に微細な気泡が発生する。
【影響】
・(ランナやバケットへの)壊食 ←最も重要なので必ず暗記
・効率、出力、揚程の低下
・(水圧菅入口での)水圧の変動が激しくなる
・水車が振動し、騒音を発生する
【防止策】
・(キャビテーションは比速度が早いほど発生しやすいので)比速度を過大にしすぎない
・(キャビテーションは吸出し菅の吸出し高さが高いほど発生しやすいので)高くしすぎない
・ランナやバケットを(水流が均一に流れられるように)平滑に設計する
・ランナやバケットを浸食に強い材質にする
・部分負荷及び過負荷運転を避ける
・吸い出し菅の上部に適量の空気を入れる。
以下は発生原因のちょっとした解説。知ってると【影響】や【防止策】が密接に関連しているので暗記が楽になります。
キャビテーションとは要するに微細な気泡が発生することである。
微細な気泡の発生原因は局所的な圧力低下のことである。
また、水にはその水温に応じて決まる飽和水蒸気圧というものがある。
この飽和水蒸気圧が周囲の圧力よりも上回った時、水は沸騰(気泡になる)を起こす。
キャビテーションの場合は、流水が均一に流れない、過負荷運転をした、など、一定の条件が重なることによって流水中のある一点で低圧部という部分が現れてしまう。
この低圧部(上記太字部分でいうところの周囲の圧力)がその周囲の水の飽和水蒸気圧を下回ってしまうと沸騰の条件が満たされる。水は沸騰し気泡となって現れ。機器に悪影響を引き起こす。これがキャビテーションである。
同期機の始動方式その4 〜直結電動機始動方式〜
まだある、同期機の始動方式
同期機の始動方式を今回はやってきたがこれで最後。
直結電動機始動方式という方式である。
これはその名の通り動かしたい同期機の軸に直接電動機をつけて無理やり動かそうというものである。
今までの始動方式はなんだかかんだ電気の使い方の工夫して動かしていたが今回はそういうなまぬるい話ではなく無理やり動かすののだ。同期速度になるまで別の機械で背中を押してやるイメージだ。
この取り付けてあげる始動用電動機には決まりがあるので覚えましょう
- 巻線型誘導電動機を使う。(つまりかご型ではダメ)
- 容量は5〜8%くらいにする
- 同期機よりも早く回らないと同期速度にたどり着けないので、電動機側の同期速度は同期機のものより高く選定する。
原理的には簡単なので理解しやすい。
運転中に始動用電動機を取り外すことができないので損失が大きくなるほか、電動機を取り付ける関係で大きくなってしまうのが弱点である。
まとめ
同期発電電動機の始動方式の一つである直結発電電動機は、同期機の軸に始動用電動機を接続し、始動を行う方式である。
選定する電動機は巻線型誘導電動機で、容量は5〜8%とし、同期速度は同期機よりも早くする。
大型機まで適用できるが、損失が多いことと、機械が大きくなり面積を取ってしまう欠点がある。
同期発電機の始動方式〜サイリスタ始動方式編〜
いや、そもそもまずサイリスタってなんじゃ
僕もよく知りません。とりあえず知恵袋からもらった知識を貼リマス(人任せ)
サイリスターはゲートに電流を流すとアノード、カソード間が瞬間的にオンになる素子。
オンになった後はゲート電流をゼロにしてもオフにならず、アノード、カソード間をゼロまたは逆電圧にすると始めてオフになる。
つまりオンかオフかのどちらかで中間は無い。
交流波形の断続的な制御が得意、電気ドリルの制御、電球の調光、電熱器の制御などに応用されます。
まあ超高速で働くスイッチですね。
実はサイリスターはPNPとNPNの2種類のトランジスターの組み合わせで出来ています。
そういうわけで、交流が制御できる超早いすごいスイッチのことらしいです。
どういうことができるかっていうと、要するに周波数がいじれるわけです。
周波数がいじれると何ができるんだったっけ?そう、回転磁界の速度制御ができる。
わからない人は前回のざっくり解説をもう一度。
そんなわけでシンプルに言えば
停止中の同期発電機に励磁を与えておいて、サイリスタで低周波〜定格周波数くらいまで徐々に高めるような交流の電力を与えて、回転子を始動させられるよ!
という感じでおkです。え、めっちゃいいやん・・・
しかも、主運転、つまり始動後には系統からサイリスタが切り離されるので、損失がない。
さらに動揺もほとんどないので大容量機に適しているのだ。
うん、これでいいじゃん。
ここからがちょっと難しいのだけど、この方式の回転子には位置検出器というものがついている。回転子が今どの位置に傾いてるかを見る機器で、この位置を検出しながらその位置に対応した周波数を逆変換器のゲート回路によって制御する。
この辺は難しいので自分はサイリスタの逆変換っていうのは交流を直流にしたり、周波数をがいじったりできるらしく、きっとそれを使ってるんだろうな、くらいの甘い理解で済ませちゃっている。すごく大事なことらしいけど、原理は難しいのでとりあえず何をしてるのかだけを覚えておく。
そのくらいパワーエレクトロニクスの分野が絡むと一気に機械は難しくなる。
全部構っていたら脳みそがパンクするので、自分みたいななまくらはとりあえずわかんないものは暗記で済ませるしかないのだ。
そうして進んでいくうちに、わかる時が来ると思うんですよね。電験の、特に機械分野は、長く立ち止まると、沼にハマっちゃうのでそういう諦めの良さも大切です。(という言い訳)
まとめ
サイリスタ始動方式は,停止中の発電電動機にあらかじめ励磁を与えておき,サイリスタ始動装置の順変換器に所内から商用周波数交流電源を供給し,発電電動機の回転子位置検出器からの信号により逆変換器のゲート回路を制御し,回転子の励磁位置に対応した零(0)から定格周波数まで変化する交流を電機子に供給して発電電動機を始動・加速する方式である.
同期発電電動機の始動方式ざっくり解説〜同期始動方式編〜
じゃあ大容量の同期発電電動機はどう動かすねん
前回(制動巻線始動方式)からの続き↓
前回は小中容量の同期発電電動機で主流な制動巻線始動方式について説明した。
今回はじゃあ大容量機はどうやって動かせばいいのか・・・ということについて説明する。
その方法は同期始動方式。
その前に、なぜ同期発電電動機が始動を開始できないのかを話す。
同期機っていうのは固定子がつくる回転磁界(この言い方がややこしいと思う人は円筒型の筒の中で磁石だけが回ってるイメージをしてもらうとわかりやすい)に、回転子がひっぱられてくるくるまわる。
このくるくる回る速度ってやつがつまり周波数である。たとえば60Hzなら1秒に60回回る磁石ってわけだけど、いきなりこんな早く回られてもついてこれないのである。
回転磁界が早すぎてついていけない→回らない→要は始動トルクがない
逆に言えば、この回転磁界超ゆっくり回ってくれれば、磁石の動きについて行けることになる。
この考えのもとに、最初は回転磁界を超ゆっくり回して行って徐々に早めると、回転子はこの動きについてこれる。こんな感じで最終的に定格周波数に持ち込んでやろうというわけである。
これは前回説明した制動巻線型始動方式に比べて系統に動揺を与えにくく、大容量機でも適用できるのだ。
良い方法ではあるが残念ながら弱点もある。この始動方式は説明したように徐々に早くなる回転磁界を求めるので、
徐々に周波数の高くなる回転磁界が必要
↓
徐々に周波数の高くなる界磁電流が必要
↓
徐々に周波数の高くなる電源が必要
ということになる。そんな都合の良い電源、どこに転がってるのかというとわざわざ始動用の発電専用機を用意するのである。
界磁電流があらかじめ与えられている発電電動機と、この発電専用機と電気的に接続し、発電専用機をゆっくりと始動させる。すると同期化力によって発電電動機は同期され始動を始めるので、定格速度に向かわせる。
ちなみに主回路が複雑になってしまうという弱点もある。
まとめ
同期始動方式は発電専用機と発電電動機を電気的に直結し、同期化力によって発電電動機の始動を開始する方式で、系統への動揺も少なく、大容量機まで適用可能であるが、主回路が複雑になるという弱点もある。
余談(初学者はとりあえず読み飛ばし推奨)
ちなみにもちろん同期機の発電の時はこの回転子は外部からの力で動かされるので(揚水発電所なら水の力とかで)この始動トルクがないとか言う話をしてるのは同期機を電動機として利用している場合の話である。
で、電動機として利用する場合には普通に考えたら明らかに誘導機のほうが低コストだしいいんだけど、誘導機は発電機として使うには滑りの関係なんかで厳しい点がある。そういうわけで揚水発電所みたいな発電機も電動機も必要になるところではコスト削減やスペースの確保のためなんかに発電用に用意した同期機を電動機としても活用しようとするのである。
この手の問題で「揚水発電における同機器の始動方式・・・」って言ういいまわしがされるのは同期機を電動機として使う主要な設備が揚水発電なんだよってこと(だと思う)
同期機の始動方式ざっくり解説。制動巻線始動方式編
そもそも同期機の始動方式ってなに?
同期機の始動方式は多くの人が理解に苦しむ。
っていうか僕もよくわかりきってない。
だからざっくりと、理解しているなんとなくの概要だけど、そのぶんわかりやすいとは思う。熟練者の方は、眼に余る内容だと思うのでお引き取りください・・・・
同期機について絶対に知っておかなければならないこと
- 同期機は停止状態から自分の力で動き出す事が出来ない。
- 同期機は基本的に発電所等の発電機で利用される。
- 揚水発電所では陽水の際に電動機として利用される。
で、結局のところこの同期機は動き出しの為の背中押しを他人からされないと動いてくれないなまくら野郎ってことである。
で、この始動方法が一個ではなく、何個もあるのでそれを覚えなきゃいけない。
面倒ではあるけど役割ごとに使い分けているので、その辺を関連づけて覚えるべきである。
制動巻線始動方式
ちょっと難しいが暗記する部分がある。
回転子の制動巻線をかご型誘導電動機の原理で始動、加速をする。
という部分である。
言ってしまえば構造を工夫して同期機を自己始動させているので、自己始動方式にあたる。自己始動できないはずの同期機だけど、工夫すればできるっていうことである。
やり方は、同期機の構造を工夫して誘導電動機っぽく動かしておいて、同期速度(同期機が力を受けなくても動けるくらいの速度)になったら同期機として動かす。
自己始動なので、外部に必要な機器もなく、経済的な上に簡単。じゃあこれでいいじゃんと思うけどそうはいかない。実はこの方法、始動時に系統に大きな動揺を与える。
動揺・・・電気の専門用語。影響、みたいな捉え方でOK
始動時に大電流が流れる理由は、同期機にリアクタンスがあるせいである。イメージ的にはコンデンサである。
同然このコンデンサは始動前は空っぽなのだが、始動時にこのコンデンサが満タンになるまでの分の電流を大量に食う。このコンデンサに大量に食われる電流が突入電流であり、こういういきなり大量の電流を求められると、この同期機と繋がってる他の機器に多大な影響が発生してしまう。これが良くないというわけだ。
もっと詳しくは村田製作所が解説してたので丸投げする。
http://www.murata.com/ja-jp/products/emiconfun/emc/2012/10/29/en-20121029-p1
な・の・でこの突入電流をまるまる頂戴♡というわけにはいかない。
対策として始動時には定格の1/2の電圧を与えることにする。動揺やらなんやらを半分にしてなんとか周りに我慢してもらおうということである。
ちなみにデカイ同期機ほどもちろんこのリアクタンスは高く、ということは突入電流もデカく、もちろん動揺も大きい。
そんなわけで、大容量機でこんな手法をとりいれたら系統がぶっ壊れるのでこのやり方は小中容量機に限定されるというわけである。
まとめ
同期発電電動機の始動方式の一つとして制動巻線始動方式が挙げられる。
この方式は回転子の制動巻線をかご型誘導電動機の原理で始動、加速させる。
設備が簡単で単純であると言う利点があるが、突入電流が大きいため系統に動揺が大きい。
そのため、始動時には定格電圧の半分の電圧で始動を行うように工夫をする。
また、この方式は動揺が大きいという特性上、小中容量の同期発電電動機に用いられる。
続きは次回・・・
水撃作用のざっくり解説
水力発電所の水撃作用について
そもそも水撃作用とは、別名ウォーターハンマーとも言う。つまり、水トンカチ🔨
水撃作用は常に発生するようなものでは無く、ある条件が整った時のみ作用する。
その操作とは弁、つまり水の出口の部分を急に開いたり閉じたりすることで発生する。
急に開いたり閉じたりする
↓
突然水が流れ始めたり水が流れなくなったりする
↓
管路内の水圧が大幅に変動することになる。
水圧を支える弁の気持ちになればわかる。君は今大量の水を止める蓋の役割をしている弁である。今、君だけでものすごい勢いで流れている川の水を止めてくれ、なんて言われたら・・・うん、死ぬよね。いきなり止めようとするとものすごい量の水の運動エネルギーを受け止めなきゃいけない。この受け止めた時に発生する衝撃、これが水撃作用ってやつである。
詳しい人向け解説:弁にかかっていた圧力エネルギーが開放によって運動エネルギーに急変換される、またはその逆の事である。
要するに:水のハンマーがプロペラとかを殴りつけてくるのが水撃作用である。危ないよね。
ではこの作用を避けるにはどのようにしなければならないのであろうか。
まず、水撃作用の原因である圧力変動自体、実際には避けることはできない。
ということは、どうやってうまくこの圧力変動を無理のないレベルまで下げるかというのが重要なわけである。
まず、対処法としてサージタンク使う方法がある。
サージタンクとは要するにクッションのことである。
水のハンマーが管内を通り、機器にぶつかる事で機器の破壊が起きうるのだから、その管内に分かれ道を作っておき、その分かれ道にハンマーの一部を分散させる。そうすると機器に流れてくる分のハンマーの力は軽減される、というわけである。
そんなわけでもちろんこのサージタンクは機器の手前に設置され、具体的には導水路(ただ水が流れているだけの場所)と水圧鉄路(圧力がかかる管)の間に設置するのである。
他にも水車側での対策も可能である。
衝動水車として有名なペルトン水車ではデフレクタを使用して、水流を反らしつつ、徐々にニードル弁を閉じる事で水撃作用を防止している。
Wikiより
ニードル弁
流量調整にはニードル弁が用いられる。 ニードル弁の先端部分(ニードルチップ)はキャビテーションによる壊食が発生しやすく、取り替え可能な構造としている。 また、各ノズルには水流を反らすためのデフレクタが備わっている。
デフレクタ
発電機の負荷が事故などにより遮断されてしまうと、負荷を失ったランナは回転数が急速に上昇する。その際は速やかにランナに入射する水流を遮断することが必要であるが、ニードル弁による急速な流水遮断は水撃作用を催し大事故につながるおそれがある。
したがって、負荷遮断時にはノズルの直前にデフレクタをせり出すことで水流を他方へと反らし、その後ニードル弁を徐々に閉じるようにしている。